美濃焼1,300年の歴史は、多様な形となって現代へ受け継がれ、そして未来へ流れゆく大きな河。このコーナーでは美濃焼に携わるさまざまな企業、人を紹介し、多種多様な美濃焼についてご紹介いたします。
世界有数の白磁の産地、岐阜県瑞浪市にある株式会社深山は創業以来、鋳込みという製法でものづくりを続け今年度で創業37年目を迎えました。創業以来、高品質なものづくりを目指し、開発及びデザインに力を入れてきました。グッドデザイン賞(Gマーク)などの数々の賞を受賞し、国内外で高い評価を集める注目のメーカーです。
- 深山のうつわをつくる想い -
「時間と人の手を伝わり生まれるうつわ」
工場の裏手に流れる小里川(おりがわ)。そのほとりで、1846年(弘化三年)に当時、国内でもほとんど使われていない銅版絵付けに果敢に挑戦したやきもの「里泉焼」(りせんやき)が存在していました。現在では耳にする事のない、そのやきものが生まれた地で、その精神を受け継ぎ1977年 深山は誕生しました。鋳込み成型と呼ばれる、泥状にとかした白磁土を石膏型に流し込み、その石膏が泥の水分を吸収する事で硬化し、形を生み出すこの技術は、型という響きからは想像できないほど多くの手を渡り器となります。
「かつて世界有数であった磁器の生産地」
岐阜県東部の多治見市、土岐市、瑞浪市を主産地とする美濃焼。その中で瑞浪市は昭和20~40年代にかけては世界中にディナーウェアを発信してきた磁器の一大産地でした。その後、為替環境の変化などで、その主たる販売地域を失う中、深山では、地域に集積した「白磁をうつくしく焼き上げる焼成技術」と「繊細な形状を作り上げる成型の技術」をもって、新たなものづくりに挑戦してきました。
かつて世界有数であった磁器の生産地であるからこそ培われた最良の技術を現代の暮らしのための器づくりに生かす。地域と共に歩むことで、技術を暮らしに繋げることが可能となります。
「素材をうつくしく仕上げる」
素材を美しく仕上げること。白磁であれば、その本来の白さを引き出すこと。
それは意匠の話だけではなく、性質を高める事にもつながります。深山の白磁はガラス質の多い磁器土を1340度で焼き上げます。不純物を焼き切るまで高温で焼き上げられた土と釉薬は、融け合い、ガラス化し、淡く透けるような光沢を生み出し、そして、それと同時に洗いやすく、汚れにくい素材となり、道具として長く使って頂く事が可能となります。ものづくりを突き詰めることで、美しさと機能性が互いに高まる用の美のうつわ。
「うつくしいうつわ」
うつくしいうつわとは私たちのものづくりの思いです。平仮名を生み出した日本人の美意識のように、受け継がれたものを大切に、しかし、あくまで器として現代の暮らしのための道具を生み出す。使う人の喜びのために、人が暮らしてきた時間にきちんと向き合い、その思いと共に歩み、そして、丁寧にものを作り続ける。それを想い続けることが私たちのものづくりです。
●●● ここからは、深山さんの作業風景です ●●●
<圧力鋳込み>
圧力により泥を石膏型に注入して成型します。
真ん丸だけでなく、四角い器や仕切りのある器など様々な形状を作ることが可能です。
主に皿や鉢を成型します。
<排泥鋳込成型>
圧力鋳込と同じ原理で成型します。
主にポットや花瓶の成型に使用します。
<加飾>
全て人の手による絵付けであり、一つ一つに微かな個性が残ります。
<施釉>
生地の表面に釉薬というガラス質のコーティングを行います。
表面に均一に施すには高い技術を要します。
●●● 最後に深山さんのしごとについて ●●●
深山さんの一番の仕事は、製品を通して、お客様や皆さんに喜んでもらうことです。深山さんの製品を購入される人はもちろん、仕事にかかわる人、支えてくれる人、全ての人たちの笑顔のために深山さんは存在します。
そして、ものづくりの仕事は、たくさんの人の力を使って、形あるものを作り出すことです。
たくさんの工程の中で、それぞれスタッフの皆様が「いい製品になるように」と想い、そして願い、技術や汗や喜びを全部つめ込んで、やっと「深山の製品」ができあがります。そのうちのひとりが欠けても良い製品ができません。
深山さんの「品質の良さ」は、スタッフひとりひとりの「想い」です。もっと喜んでもらおう!もっと楽しくやろう!もっとチャレンジしよう!こんな気持ちを持って毎日の仕事ができること、そして「深山にしかできないすばらしいもの」を作り出していくことが、深山さんのしごとです。
深山さんHP : http://www.miyama-web.co.jp/