イギリスの現代陶芸
ヨーロッパの島国、イギリスにおいて、現代陶芸は、実用性の高い陶磁器と芸術的表現の両面に向かって展開してきました。その転換点を導いた1人が、バーナード・リーチ(1889~1979)でした。リーチは、ウィリアム・モリスのアーツ・アンド・クラフツ運動を背景に、柳宗悦や日本の作家たちにも影響を受けて、無名の陶工が作る実用品の美しさに価値を見いだしました。良き指導者でもあったリーチの理想は、極めて大きな影響力を持って後の世代に受け継がれ、イギリス全土に止まらず各国の陶芸界に普及していったのです。
今回の展示では、用途を離れ自己表現の手段として陶芸を進めた1950年代以降の作家たちに焦点を絞りました。これらの作家にとっても、手の技術である陶芸に精神の表現を見たリーチの思想は、決して無縁ではなく、器の形態を大事に扱った作品が数多く見られます。その流れは、ルーシー・リー(1902~1995)とハンス・コパー(1920~1981)という2人の陶芸家に始まりました。2人は戦乱を逃れて渡ってきたイギリスで出会い、同時代に勃興してきた抽象彫刻の影響を受けながら、陶芸の表現を飛躍的に高めていきます。
一方で実用陶磁器の作家の中にも、ウォルター・キーラー(1942~ )のように、独自の形態を求める傾向が見られることも見逃せないでしょう。オブジェでありながら、リーチの理想を背景に、陶芸と器との結びつきをはっきりと意識していることが感じられるような作品が並びます。
■展覧会構成 | : | バーナード・リーチ「蓋物」(1950~60年代)、ハンス・コパー「ボトル(サック・フォーム)」(1970年頃)ほか14点。 |
概要
- 会場
- ギャラリーⅡ 展示室B
- 休館日
- 月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)
- 開館時間
- 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
- 主催
- 岐阜県現代陶芸美術館