実施レポート

先生と先生のたまごのための美術鑑賞会(MoMCAサテライトミュージアム 「Open to the World!陶磁器でめぐる世界の旅」展 )


2022年6月25日(土)14:00−15:00 岐阜県図書館
 

 「先生と先生のたまごのための美術鑑賞会」は、様々な鑑賞プログラムの体験を通じて、鑑賞教育について一緒に学びあうことを目的とした、気軽な鑑賞会です。
 いつもは多治見市の美術館で実施しているのですが、今回は岐阜県図書館(岐阜市)で開催中のMoMCAサテライトミュージアム「Open to the World! 陶磁器でめぐる世界の旅」関連企画として、初めての出張開催を行いました。ご参加くださった方も、ほとんどの方がはじめまして!「遠くて行きづらかった」という方にもご参加いただけたことが嬉しかったです。

 さて、今回の鑑賞のテーマは「アイテムを使った鑑賞」でした。
 一つ目のアイテムは「アートカード」です。2グループに分かれて行ったのは「3つのヒント」ゲーム。“親”が机の上に並んだ岐阜県現代陶芸美術館のコレクションのカードの中からお気に入りの1点を見つけ、その作品にまつわる3つのヒントを出します。参加者はそのヒントをもとに、一緒に相談をしながら、どの作品かを考えます。たとえば「さわやか」「水」「暗い」。「さわやかってどんな感じだろう?」と相談しながら、考えました。交代で“親”になる間に、みんなの好みもみえてきます。

アートカードゲームを楽しみます。

 ちょっぴり打ち解けたら、グループごとに展示室に移動します。
 二つ目のアイテムは、図書館ならではの「絵本」です。ここで岐阜県図書館の司書さんをお招きして、佐々木マキさんの絵本、『変なお茶会』(絵本館、1979年)を読んでもらいました。ちょっぴりヘンな招待状を受け取って、世界中から集まってくる個性的な人たち…みんなの目的は、年に一度、湧き上がるココアだったのです!という不思議なおはなし。
 ここで注目したのが、みんなが大きな食卓を囲み、ココアをいただくシーン。では「この食卓にぴったりな器は?」これをみんなで想像してみることにします。

大人もこどもも絵本の世界に引き込まれます。最後のふりかえりでは、「絵本はさまざまな活動の入り口になってくれる!」という意見も。

 今回の展示では、世界各地の器を数多く展示しています。みなさんそれぞれに、美味しそうなココアを想像したり、へんてこな客人のことを思ったりしながら、おもてなしの器を選びました。「自分で使うのは難しいけれど、こんな人たちなら楽しんで使ってくれそう…」という選び方をされる方もいました。

見過ごしていた作品も、他の参加者の意見を聞くうちに思わずのぞきこみたくなりました。

 三つ目のアイテムは「カメラ」(タブレットやスマートフォン)です。
 「ベストショットをねらえ!」と題して、アルド・ロンティーニ《赤い服の女》(1982年)をモデルに、自分が思う、作品のベストショットを探して撮影しました。上下左右様々な角度から撮影したり、思い切ったズームで切り取ってみたり。この作品は、お顔の表現がとても特徴的なのですが、そこに着目して「この角度から見ると男性のようにみえる、見る向きによって、堂々としているようにも、不安そうにも見える」という意見も。それぞれのベスト1枚を見せ合うと、人によって注目する部分がまったく違うことが感じられました。

いつもなら思いつかない角度からも鑑賞できました。

 最後は車座での意見交換。みなさんのご感想を聞きながらも、もっとじっくりそれぞれのお話を伺いたかったという気持ちがあります。また多治見でもお会いできれば幸いです。

さまざまな「アイテム」に関する意見が出ました。

 なお、この「たまご鑑賞会」は、鑑賞教育に関心のある方ならどなたでも大歓迎。今回も、学校の先生以外の方や、親子連れでご参加くださった方もいらっしゃいました。多治見では特別展ごとに開催をしていますので、ぜひお気軽に参加してみてくださいね。お待ちしております!

(学芸員/林いづみ)

―――基本情報―――

先生と先生のたまごのための美術鑑賞会(MoMCAサテライトミュージアム 「Open to the World!陶磁器でめぐる世界の旅」展 )
日時:2022年6月25日(土)14:00~15:00
参加者:17名
会場:岐阜県図書館 企画展示室Ⅱおよび研修室1・2

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