cornucopia 01-Ⅵ
(こるぬこぴあ 01-Ⅵ) cornucopia 01-Ⅵ田嶋悦子
(たじま えつこ) Tashima EtsukoH 55.0cm W 42.0cm D 50.0cm
田嶋悦子がデビューした80年代初頭の頃は、本人が述懐するように「バブル経済をそのまま描いたような現代美術」が台頭し始めており、ことに田嶋の活動する関西では、作品の巨大さ、その色彩などの「ド派手さ」が際立っていた。田嶋は当時のそうした傾向を代表する一人であり、沸き立つイメージを増殖させ旺盛に制作していた。
こうした田嶋の制作に、最初の変化が現れるのは1988年頃である。この頃低火度釉の鮮やかな発色から伝統的釉薬をあえて用いた高火度焼成へ、大型作品から小品へなどの変化が認められるが、これは自分自身がなぜ焼き物から離れられないのかという内的な自己確認作業によるものだという。やがて作品は白化粧の無釉焼きしめとなり、加飾が取り去られてゆく。かつての饒舌な表現は抑制され、専らフォルムが追求されることになる。
田嶋が陶とともにガラス技法を併用するようになるのは、1992-93年の頃である。充実した量塊でありながら視線を内部に誘い込むガラスと内部に虚ろを抱えながらその皮膚的表面で視線を受け止める陶という全く異なる特質をもつ素材の併用は、田嶋のフォルムの追求をさらに深化させたと思われる。しかし焼き物の断面はガラス(釉)と陶土であった。その意味でこの田嶋の作品は、焼き物というものへの田嶋独自のアプローチともなっている。