Head series
(へっど しりーず) Head series申相浩
(しん さんほ) Shin Sang-HoH 71.2cm W 52.2cm D 66.1cm
申相浩は、初期の模倣的な伝承作品から80年代の実用と轆轤から離れた大形の造形作品制作を経て、90年代に粉青沙器の技法での現代的な表現に挑戦する。91年に朝鮮日報美術館でみせた新たな粉青沙器の仕事は、轆轤技と粉青沙器の伝統に基礎を置いたものだったが、この時壺などの形態に印花文、象嵌を施した絵画的な作品のほか、轆轤で成形した筒形を変形させた胴体に動物の頭像を作りつけた作品が発表される。
本作品は1995年に草月美術館で開催された個展の出品作である。1991年の粉青沙器動物頭像からさらに展開し、同展では轆轤を排除し、粉青沙器技法を使わずに、胎土自体の可塑性を生かして陶土板を積み上げ、接合しながら、頭部を主題とする動物像をつくりだした。粘土板を素早く接合し、制作時に生じた偶然の形態をも取り込みつつ形をつくる。素焼き後、表面の部位毎に様々な化粧土を混ぜて塗っては拭いとる作業をしたあと本焼きし、本焼き後にも鉄分等の天然顔料を薄く塗っては拭い取る作業を繰り返してさらにもう一度焼成する。馬の頭像のようにもみえるが、特定の動物を表したものではないという。動物像の表情は優しく、物憂げのようにも悲しそうにも、様々な表情を浮かべているようにみえる。これらのHead seriesの作品は申の伝統的な粉青沙器を用いたDream seriesと並ぶ代表的なシリーズであり、かつ対照的な表現をみせるものである。