写実をまとう-初期・宮川香山展
2006年4月18日(火)~8月13日(日)
京都真葛ヶ原の代々続く陶家に生まれ、明治期に横浜で真葛焼を創業して活躍した初代宮川香山(本名虎之助1842-1916)。本展では、初代宮川香山の作品を、宮川香山研究家である田邊哲人氏のコレクションに、当館の収蔵品を加えて紹介します。
真葛焼は明治初年から昭和20年横浜大空襲によってその70余年の歴史の幕を閉じるまで、内外の博覧会や美術展で数々の受賞を重ねた名窯であり、また香山は陶芸界で二番目の帝室技芸員にも選ばれています。香山の作品は、広く海外においてもMAKUZU WARE(マクズウェア)として知られ高く評価されました。今日、優れた作品の数々が欧米の美術館やコレクションに収蔵されています。日本においても近年、近代陶磁史の研究において明治期のやきものが再評価されるにともない、その技巧の高さと独特の世界に関心が高まりつつあります。
海外へ輸出された初代宮川香山の作風は、欧米の愛陶家の嗜好をよく研究し、反映させていたと考えられ、薩摩焼風のものからアール・ヌーヴォーの雰囲気を湛えた釉下彩によるものへ変化していきますが、本展では初期に手掛けられた、極めて写実性の高い彫刻的な作品を紹介します。器物から立体的に飛び出すように、そしてときには抉(えぐ)るようにして造形をつくりあげている作品たち。そこにはごく細部にまで厳しくものをみつめ、表現に取り組んだ香山の鋭い眼差しと技が溢れています。
時代を読み、作風の方向性を転換させていった香山ですが、その没する大正5年(1916)にはかつて制作した彫刻的な作品「渡蟹水盤」を再び手掛けます。
本展示では、写実的な彫刻表現をまとい、独特な世界を陶器の上に展開した初期の作品から、香山が追求したものを問いかけていきます。
概要
- 会場
- ギャラリーⅡ 展示室A
- 会期
- 2006年4月18日(火)~8月13日(日)
- 休館日
- 月曜日(月曜日が祝日の場合は翌平日)
- 開館時間
- 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)
- 主催
- 岐阜県現代陶芸美術館